【Netflix】ロスト・ドーター ネタバレ感想 / 母親の在り方を考える

親子 感想

Netflix『ロスト・ドーター』のあらすじ、ネタバレ無し、有り感想をご紹介します。

今作品は2021年のヴェネツィア映画祭で脚本賞を受賞していて、来る1/9のゴールデングローブ賞にも主演女優賞、監督賞にノミネートされ発表が待たれるところ。

※2022.1.13追記:両賞、惜しくも受賞とはなりませんでした。

更にはアカデミー賞にもノミネートされるのではと映画批評の世界では高評価ですが、パンピーの私には難解な部分もありました。

しかし、主人公のトラウマを追体験することで母親の生きづらさが垣間見られる、興味深い作品でした。

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ロスト・ドーターの概要

ロスト・ドーターの基本情報

原題Lost Daughter
製作国アメリカ、ギリシャ、イギリス、イスラエル
製作年2021年
上映時間121分
監督マギー・ギレンホール

『ダーク・ナイト』(’08)や『クレイジー・ハート』(’09)に出演した女優マギー・ギレンホールの初監督作品です。

ロスト・ドーターのあらすじ

イギリスからギリシャのとある島に一人でバカンスに来たレダ

教授であるレダには25歳と23歳になる2人の娘がいる。

ビーチでのんびりしていたところを、アメリカ人家族グループに邪魔され終いには「どいてくれ」と言われる始末。

レダは毅然とした態度で申し出を断り一触即発しそうになる。

後日、家族連れグループの一人であるニーナが目を離した隙に、彼女の娘が迷子になってしまう。

レダはその様子を見て、自分の長女ビアンカが海で迷子になった昔の記憶がフラッシュバックする―…。

ロスト・ドーターの感想(ネタバレ無し)

物語がゆったりと穏やかに進みながらも、ジワジワと狂気じみてくるのが印象的でした。

そして多くを語らず、見ている人に謎を投げかける描写が多く考察好きには考察のし甲斐があります。

逆に言うと、痛快、爽快、テンポの速くて分かり易い映画しか勝たん!という方にはつまらない印象を与えてしまうかも。

バカンスにやって来たレダが、ビーチに居合わせた若奥さんのニーナに自分を重ね合わせる所から物語は動き出します。

ビーチに居合わせたニーナは、小さな娘の振る舞いに疲れている様子。

延々と繰り返される質問攻めや、一度起こせば泣き止まない癇癪、もちろん言う事なんか聞きやしない。

在りし日のレダは研究に打ち込もうとすると同時に、2人の娘の育児にも追われていました。

レダが仕事をしようにも娘たちはそんなのお構いなしで、これを見て、ママ遊んでとひっきりなしに要求してきます。

夫も研究者のようで育児にはあまり参加していない様子。

子どもたちは愛しているけれど、どうしても鬱憤は溜まる。そして怒りのはけ口はどこにも無い。

限界に達したレダの取った行動は褒められたものでは無いですが、子育て経験の無い私ですらレダに同情したので、経験がある人なら共感しかないのでは。

さて、女性は母になった瞬間から「母親」がその人の人格のうちの大部分を占めているように見られる気がします。

それは社会的にもそうだし、もしかすると自分自身もそう思い込んでいるかもしれません。半ば呪いのように。

もちろん、母親としての自分も居れば、女性としての自分、仕事をしている時の自分、趣味に興じている時の自分など様々な自分が一つの身体に内在していると思います。

それが、母になると、内からも外からも母としか見られなくなる

それが生きづらさになっているんじゃないの?という事がテーマになっているんだと思います。

子どもは天からの授かりものだと言われて、自分が望んで産んだ。

でも実際子育てってそんな綺麗ごとでは片付かないはず。

たまに仕事で少しの間だけお客様の代わりに子どもを見ることがあります。

それだけでも「しんどい」と思うので、24時間365日ずっと付いて回る親の苦労や重責を思うと尊敬しかありません。

口が裂けても言えない、でも子育てした人間なら一度は経験したであろう「子供が居なければ」という思いを真正面から描いた作品です。

この映画がオススメの人

・ゆったりとしたストーリー展開が好きな人
・考察が好きで、見終わった後に自分なりに物語の解釈をしたい人
・育児中の人、または子育てが終わった人

ロスト・ドーターのネタバレ感想と考察

トラウマを解呪していく

独身の私にとってはレダより長女ビアンカに感情移入しました。

私も2人姉弟の長女で、母は私たちが小学校に上がるまでの間はずっと専業主婦でした。

父はハイパー仕事人間で、朝早く仕事に行き夜遅くに帰ってくる。出張で家を空ける事もしばしば。

そうなると家は自ずと母と小さな子ども2人だけ。

加えて大人になってから知ったのですが母は元から子どもがあまり好きでは無かったようです。

そう考えると、ワンオペ育児は相当しんどかったろうなと感じます。

確かに幼少期の頃は、母は常に疲れていて笑顔で接してもらった記憶があまりないです。

そして親の心子知らずというもので当時は母が弟ばかりを可愛がっている気がして、必死に母の注意を引こうとしていました。

まさに映画の中のビアンカと同じですね。

レダのように私の母親は失踪せず、私もなんとか立派に(?)ここまで成長しました。

今では母親を尊敬しているし、愛しています。

さて、レダはビーチでビアンカが迷子になった事や、自分の子育てがある種のトラウマになっているようでした。

しかし、ラストシーンでレダは2人の娘に電話を掛けます。

「電話無いからお母さん死んだかと思ったよ!」と娘たちが軽口を叩ける辺り、彼女たちとレダには信頼関係があるように伺えます。

レダにとっては失踪と幼少期の子育て全般はトラウマだったようですが、娘たちにとってはそこまで気にならない、あるいは乗り越えたイベントなのではないでしょうか。レダは3年失踪した後には、ちゃんと戻って来ていたようですし。

それをレダ自身は今の今までずっと引きずっていて、ラストシーンでやっとトラウマの“解呪”に成功したのではないでしょうか。

私の母が子育てにトラウマを持っているかは不明だし、ケースバイケースですが、もし母親が子育てにトラウマがあっても案外子どもってそんなに気にしていないのでは。

そしてトラウマレべルでなくとも、子育て中に「あの時ああしておけば」なんて失敗は親にもあるはず。

そこを失敗だなんて思わせずに親孝行するのが子の勤めなのかなとこの映画を見て考えさせられた次第です。

オレンジの意味は?

映画にたびたび登場するオレンジ。英語版ですがこちらの記事に面白い見解があったのでご紹介します。

この記事ではオレンジはずばり“子どもたちとの信頼関係”を意味するのではないかと書かれています。

聖書ではFruits of the womb(子宮の実)=子どもと言うようです。

序盤ではオレンジは底が腐っていました。しかしラストシーンで綺麗な状態のオレンジが出てきます。(どこからこのオレンジが出てきたのかは全く以て謎ですが)

更にオレンジには“へその緒”のメタファーもあると思っています。

レダはオレンジの皮を一続きに剝くことにこだわっていました。

そしてラストシーンでも娘たちとオレンジの皮を剥く回想シーンがあります。

その中でこれはネーブルオレンジ(Navel Orange)だと言及しています。

日本でもスーパーでよく見かける一般的なオレンジの品種です。

このNavelの意味はずばり“へそ”

それを普通に剥くのではなく、長く一本のへその緒になるように剥き、それが子供たちとの繋がりを表しているのだと感じました。

まとめ

エンタメ娯楽映画というより、芸術性の高い映画なので万人にウケる映画ではないと思います。

ただ、刺さる人にはめちゃめちゃ刺さる。

今後、ゴールデングローブ賞やアカデミー賞が続くので、この映画がどこまで賞レースに食い込むのかも期待の作品です。

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